官邸ホームページでの情報開示
政府の新型コロナワクチン接種状況が「官邸ホームページ」で公表されている。毎日更新されているので、随時確認していただきたいが、本日(2021年4月21日現在)の状況は以下の通りである。
医療従事者等(480万人)
2月17日から特定の医療従事者に先行接種を開始した後、3月上旬から一般の医療従事者等480万人を対象とした接種が開始された。しかし、これまで2月17日から4月20日までの62日間で1回目接種完了者は接種対象者480万人の28%、2回目接種完了者は同17%に留まっている。ちなみに、62日間の1日平均接種回数は34,874回、増加傾向にある直近の平日(4月16日金曜日)の1日最大接種回数は69,687回である。仮に、今後、医療従事者480万人全員に1日最大接種回数69,687回で接種を続けると仮定した場合、2回接種が完了するのは8月4日となる。
なお、4月12日から高齢者向けの接種が開始されたが、その時点でも高齢者に対してワクチン接種を行う医療従事者自身の過半が未だ1回目の接種も受けていない状況にある。
65歳以上の高齢者(3,600万人)
65歳以上の高齢者向けは4月12日の接種開始であるから、当初の僅か9日間の実績で評価はできないが、ワクチン接種の対象である3,600万人に対して1回目の接種回数が28,220回、率にして0.078%に過ぎない。4月12日から4月20日までの9日間で1日平均接種回数は3,136回、増加傾向にある直近の平日(4月20日火曜日)の1日最大接種回数でも6,605回に留まる。今後、迅速な接種が行われることを期待したいところだが、今のペース(1日最大接種回数6,605回)のままでは高齢者3,600万人全員に2回接種するのに約30年かかる計算になる。現在、医療従事者向けの1日最大接種回数69,687回というペースで高齢者3,600万人全員に2回接種する場合でも、2年10カ月かかる計算になる。
医療従事者等480万人に対する接種が開始から2ヶ月以上経過して上記のような進捗に留まっていることに鑑みれば、高齢者向けの2回のワクチン接種がいつ完了するのか、全く見通しがつかない状況にある。
東京オリンピックの開催の可否について
昨日(4月20日)、大阪府が3度目の緊急事態宣言を政府に要請した。報道によれば、第4波とされる全国的な感染の再拡大に伴い、政府は、東京都、大阪府及び兵庫県への緊急事態宣言発出を速やかに検討するとのことである。
確かに感染拡大の防止はウィルスとの闘いであるから、人間が完全にコントロールすることは困難である。しかし、ワクチン接種は、人間が開発し、人間が接種するものであるから、人為的に供給を増やし、接種を増やすことも可能である。
政府は、東京オリンピックを7月23日から予定通り開催すると繰り返し述べている。従って、本当にその気があるなら、せめてワクチン接種はこれまでとは段違いのスピードで進めなければならないはずである。しかし、残念ながらそのような動きは全く見えないし、政府の危機感も全く伝わって来ない。ということは、東京オリンピックの開催自体、既に無理というか、政府が本気で開催する意志も能力もないことは、誰の目にも明らかなのではないだろうか。
にもかかわらず、渡米して米国大統領から「五輪を開催するための努力への支持」を得たと発表する大いなる矛盾がある。それだけではない。なぜか渡米してファイザーのCEOと「電話協議」し、先方は『協議中』と発表しているにもかかわらず、国内向けには『9月末までの追加供給に「実質合意」した』旨をマスコミに書かせる。
最終的な判断は政府に委ねられている。一国民として、合理的かつ賢明な判断を期待したい。