賃金の原資は企業の粗利(=売上高-売上原価)。過去20年で労働生産性=労働者一人当たりの粗利は10%減少。企業の粗利を増やさない限り、労働生産性も、その結果としての賃金も引き上げることはできない。要は、法律で決めても賃金は上がらないのだ。
では、どうすれば賃金を引き上げることができるのか?
詳しくは、次回の動画(既に収録済み)に譲るが、財務省の法人企業統計調査(1960年度~2020年度)から分析した結果、労働生産性(=付加価値/従業員数)の伸び悩み(減少)は、資本装備率(=資本ストック/従業員数)の伸び悩み(減少)と連動していることがわかる。マクロ(社会会計)の視点から見ても、過去20年間のマネーストックの増加率、純投資(総投資支出-減価償却費)共に大幅に減少している。
従って、日本の長期停滞、具体的にはデフレと名目賃金の長期的下落の原因については、以下のような因果関係が推測される。
銀行の貸し渋り・貸し剥がし→マネーストックの伸び悩み→借入(Debt finance)による投資の長期的かつ大幅な減少→バブル崩壊も含む一国経済全体の資本(国富)の伸び悩み(減少)→ミクロの資本装備率の伸び悩み(減少)→労働生産性の伸び悩み(減少)→名目賃金の伸び悩み(減少)→GDP・国民所得の伸び悩み
逆に言えば、名目賃金を引き上げ、デフレから脱却するためには、
①金融機関(銀行)の融資拡大
②借入(Debt finance)による企業の設備投資と研究開発投資
③インフラ整備のための政府の公共投資
を積極的に行うべきとの結論が得られる。
このうち、政府が単独でもできるのは③インフラ整備のための政府の公共投資だけだが、民間部門における①及び②を促進するため、日本版ジャンク債市場の創設と格付け機関の育成を急ぐべきである。
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