消費税の欠陥 その2 ~賃金と投資の抑制効果~ | 桜内ふみき 公式サイト

消費税の欠陥 その2 ~賃金と投資の抑制効果~

消費税は間接税ですが、納付するのは事業者側。事業者の支出が正社員の人件費なのか、非正規社員に対する委託費なのかで納付税額が変わってきます。具体的には、正社員の人件費であれば、その人件費の金額の10%が消費税の納付税額に上乗せされますが、非正規社員に対する委託費であれば、消費税の納付税額に変化はありません。消費税がなかった昭和の経営者であれば、売上が伸びて利益がたくさん出そうだ…と思えば、期末のボーナスを弾んでその分、法人税額を下げることも可能でした。経営者も、労働者も、みんながハッピーになれたのです。当時の法人税率は現在(23.2%)の約2倍の43.3%。節税効果としても大きかったといえます。

ところが、令和の今では、同じようなことをやろうとすると、確かに法人税額が下がるのは同じですが(法人税率が半減しているので、節税効果も半減するものの)、正社員の給料の伸びの10%分、消費税の納付税額が増えてしまうのです。消費税が3%や5%の時代ならいざ知らず、普通の経営者なら賃金引き上げに躊躇するでしょう。その代わりに、非正規社員を増やして委託費として支出すれば、法人税額も下がるし、消費税の納付税額が増えることもありません。消費税の存在が、非正規化の要因の一つと思われます。

実は、設備投資をした後に生ずる減価償却費も、正社員の人件費と同じく、その10%分、消費税の納付税額が増える仕組みになっています。この20年来、設備投資の大幅な減少が日本経済衰退の原因だと僕は考えているのですが、 償却期間全体にわたって設備投資金額の10%分、消費税の納付税額が増える仕組みとなっている以上、いくらゼロ金利政策を20年以上続けてきたとしても、投資が増加することがなかったのも理の当然かと思います。

このような消費税の欠陥は、欧州型の付加価値税にはないもので、日本固有の消費税制の制度設計の誤りに起因しています。その根本原因を動画の中で解説しています。逆に言えば、消費税法を改正し、その根本原因を取り除けば、上記のような消費税の欠陥をなくすことも可能です。消費税を半減するとか廃止せよとの主張もありますが、仮に廃止せずとも上記の欠陥を是正することは可能です。

相当テクニカルな話ですが、日本経済全体にとって非常に重要な問題ですので、ぜひとも広くご視聴いただければ幸いです。

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