もともとFacebookに投稿していた動画とその解説記事ですが、原因不明ながら先月に続き今月もアクティビティログごと消失するという事件がありました。アルゴリズムの問題だと思いますが、時間をかけて書いた記事が消失してその原因も不明ということでは、Facebookを信用することはできません。
2日近く経ってなぜか復旧しましたが、今後はWordpressに記録した上でFacebookに投稿する形に改めようと思います。
【欠陥税制】財務官僚だったら絶対言えない!日本の消費税には、賃金抑制、正社員の非正規化の誘因が埋め込まれています。
ヨーロッパ型の付加価値税の場合、付加価値、すなわち粗利(=売上高-売上原価)に対して税率を乗じて税額を計算します。従って、付加価値税を支払う事業者の立場からすれば、課税後の利益をどのような支出に充てようとも、付加価値税の負担が増えたり減ったりすることはありません。付加価値税が課されることによって、事業者の経済活動には何らの影響も及ぼさないことを「中立性」といいます。
しかし、日本の消費税の場合、付加価値=粗利(=売上高-売上原価)に対して税率を乗じて税額が計算されている訳ではないのです。少し技術的な話になりますが、重要なところですので、具体例で見ていきましょう。
事業者が税抜600円の商品Aを仕入れたとしましょう。消費税10%ですから、事業者は税込価格660円で商品Aを仕入れることとなります。
次に、事業者が商品Aを税抜価格(課税標準とか課税売上高といいます)1000円、税込価格1100円で販売したとしましょう。その場合、事業者は、売上時に預かった消費税100円から仕入時に支払った消費税60円を控除(差し引き)して、40円を税務署に支払うこととなります。
ここだけを見ると、ヨーロッパ型の付加価値税と全く同じです。なので、先日、日本に帰化したある外国人の方が以下のようなツイートである問いを発していました。
「消費税によって日本経済が成長しない見方は、非科学的な考え方。critical thinkingができていない証。
消費税の引き上げによって、日本経済が成長しないと言うのであれば、それは
1)賃金にどう悪影響するか
2)なぜ海外ではその悪影響はないか
を示す必要がある。」
これに対して、僕は次のような引用リツイートをしました。
「欧州の付加価値税は課税標準が付加価値(粗利)なので賃金に対して中立的。だが、日本の消費税では仕入税額控除の対象を拡大したため、課税標準が営業利益+人件費+減価償却費。従って、正社員の人件費には10%の追加負担があるので、経営者には賃金抑制と非正規化の誘因がある。」
どういうことかというと、日本型の消費税の場合、単に付加価値=粗利(=売上高-売上原価)に対して税率を乗じている訳ではなく、そこから更に(人件費及び減価償却費を除く)販売費及び一般管理費も「仕入税額控除」対象経費として控除(差し引き)した上で、そこに税率を乗じて税額を計算しているからです。
先の例で言えば、確かに事業者は以下の取引を行っています。
売上:商品A1000円+借受消費税100円
仕入:商品A600円+仮払消費税60円
そして、事業者はその他にも、接待交際費、通信費、水道光熱費の他、事務用品、消耗品、新聞図書など合計300円(税抜)、税込330円で購入していたとしましょう。
販管費:接待交際費等300円+仮払消費税30円
従って、当該事業者が税務署に支払う消費税額10円=仮受消費税100円-仮払消費税90円(=60円+30円)
結局、当該事業者の負担する消費税額は僅か10円ということとなるのです。なぜこのようなことになるかというと、日本型の消費税の場合、仕入税額控除の対象が売上原価(または製造原価)だけでなく、(人件費及び減価償却費を除く)販売費及び一般管理費にまで拡大されているからです。1989年4月に消費税は当初3%の税率でスタートしたのですが、国民の反発があまりにも強かったこともあり、仕入税額控除の対象範囲を必要以上に拡大してしまったものと思われます。
このことは、財務省のホームページでもきちんと書かれています(「No.6451 仕入税額控除の対象となるもの」でググっていただければご覧になれます)。
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【申告・控除の内容】
課税仕入れとなる取引には次のようなものがあります。
(1) 商品などの棚卸資産の購入
(2) 原材料等の購入
(3) 機械や建物等のほか、車両や器具備品等の事業用資産の購入または賃借
(4) 広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費などの支払
(5) 事務用品、消耗品、新聞図書などの購入
(6) 修繕費
(7) 外注費
なお、給与等の支払は課税仕入れとなりませんが、加工賃や人材派遣料のように事業者が行う労働やサービスの提供の対価には消費税が課税されます。したがって、加工賃や人材派遣料、警備や清掃などを外部に委託している場合の委託料などは課税仕入れとなります。
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「なお」書きにもあるように「給与等の支払は課税仕入れとな」らないので、仕入税額控除の対象となりません。逆に言えば、結果として、正社員の人件費には消費税の追加負担10%が発生することとなります。他方、「加工賃や人材派遣料、警備や清掃などを外部に委託している場合の委託料などは課税仕入れとなり」、仕入税額控除の対象として消費税の追加負担10%は発生しません。
ちなみに、先の問いを発した外国人は「あなたの意見はただの間違い。財務省に確認して下さい。」ともツイートしてました。自分で上記の財務省のホームページを見ればわかることです。相当粘着質で3時間ほどにわたって「全く間違っていますよ。」「勉強し直して下さい。」「全くの幼稚な誤認。」「海外の制度を知らずに勝手に妄想することをやめてください。」「私は、日本の企業の社長として、あなたの指摘は間違いだ、と断言します。」等々罵詈雑言を発していましたが、最後まで自らの間違いを認めることはありませんでした。どうでもいいけど。
という訳で、ぜひ動画もご覧ください!!!
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