この動画にコメントをいただきました。投資を増加させるためには、金利を引き上げるべきではないという極めて常識的なご意見なのですが、僕からは社会会計、すなわち複式簿記という数学のロジックに基づき、以下のような返信をいたしました。
Q:大幅なデフレギャップが厳然とある中で輸入物価の上昇を価格転嫁できない企業に金利引き上げて設備投資ができる環境が形成されるとは考えられませんね。設備投資に補助金でも出すなら別ですが不可能です。法人税の大幅引き下げも無理。
A:コメントありがとうございます。 多くの経済学者やエコノミストの方々は、ご指摘と同様に金利の引き上げに絶対反対との主張をされています。当然、そのような意見が多数決であれば、過半数どころか大多数であることも承知しています。
しかし、20年以上にわたるゼロ金利政策にもかかわらず、純投資(=総投資支出-減価償却費)の大幅な減少が続いてきました。金利の高低と設備投資の水準とは無関係であることが既に事実として証明されたのではないでしょうか。事実から目を背け、闇雲にゼロ金利政策に固執するのは、政策論としてどうかと思います。私は会計学者として、投資や金利に関する人間心理ではなく、複式簿記という数学のロジックに基づいて、この動画を制作しました。
投資には必ずリスクが伴う以上、そのリスクに応じた金利が課されなければなりません。ゼロ金利でも投資ができない経営者と、適切なリスク評価もできず、融資もしない金融機関との両者が相まって、日本経済が衰退してきたのだと思います。
例えば、孫正義氏のタイムマシン経営のように、他国の優れたビジネスモデルを持ち込むだけでも、十分な粗利を稼ぐことのできるビジネスが可能な時代です。もちろんリスクは少なからず存在しますが、そのリスクをコントロールする経営者、そしてそのリスクに応じた金利を付して積極的に資金供給する金融機関の組み合わせによって、投資を増やすことは可能だと思います。そのような稼げるビジネスを行うことによって、金利を支払い、賃金を上げていくことも可能になるでしょう。
ゼロ金利政策の弊害は、既に円建の資産価格が天井に達しているので、海外からだけでなく、国内的にも将来、必ず円建の資産価格が減少すると予想される点にあります。そんなときに円建の固定資産・投資資産の購入である「投資」を行うでしょうか。また、最近の円安にも見られますが、円の通貨価値だけでなく、円建の資産、商品・サービスまでもがその価値を失い、投資先としての魅力を失っているのだと思います。
投資を増やすという目的を達成する手段として、何か他の対案はあるのでしょうか。一つには、かつての日銀の窓口指導を復活して、銀行にリスクマネーの供給を促すというやり方もあると思います。
しかし、ゼロ金利どころか、補助金をもらわないと設備投資ができないようでは、経営者として失格だと思います。そのような人は、サラリーマンか公務員が向いているでしょう。また、法人税の大幅引き下げも、投資とは無関係だと思います。
これからの財政金融政策、そして日本経済を復活させるための産業政策について語ります。
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