もともとFacebookに投稿していた動画とその解説記事ですが、原因不明ながら先月に続き今月もアクティビティログごと消失するという事件がありました。アルゴリズムの問題だと思いますが、時間をかけて書いた記事が消失してその原因も不明ということでは、Facebookを信用することはできません。
2日近く経ってなぜか復旧しましたが、今後はWordpressに記録した上でFacebookに投稿する形に改めようと思います。
【お金の本質】複式簿記では、
[借方]銀行システムの「外部」に対する金融資産(投融資)の変動≡[貸方]マネーストックの変動
という恒等式が常に成立します。
一般には、金利が付くことによってお金が増えると思われています。しかし、実は金利というのは誰かから他の誰かへの所得(または資本)の移転なので、例えば銀行預金の場合であれば、私達から見ればお金が増えたように見えますが、金利を払う銀行側からすればその所得(または資本)を移転させていることになるので、そのような金利コストの負担には自ずと限界があります(銀行の資本が上限)。
また、日銀の異次元緩和を主導した「リフレ派」と呼ばれるエコノミストは、「マネーストック=信用乗数×マネタリーベース」という方程式を基礎として、日銀の負債である日銀当座預金(マネタリーベース)を大幅に増やせば、世の中のお金の総量であるマネーストックも大幅に増やすことができると考えています。しかし、マネタリーベースは2013年2月末の131兆3043億円から2022年3月末には688兆327億円と5.24倍にまで激増しましたが、その間、マネーストック(M3)は2013年2月末の1143兆4516億円から2022年3月末に1549兆6178億円と1.35倍に増えただけです。要は、マネタリーベースを増やせば増やすほど、それに反比例して信用乗数が低下したのです。
その原因は明らかです。金利やマネタリーベースの水準は、お金の総量であるマネーストックの決定には会計的に無関係なのです。銀行システム「内部」での債権債務である日銀当座預金(マネタリーベース)の増減がマネーストックの増減に影響を及ぼすことはありません。マネーストックを決定するのは、あくまでも先の恒等式「[借方]銀行システムの「外部」に対する金融資産(投融資)の変動≡[貸方]マネーストックの変動」です。これをコトバにして、僕はマネーの第一定理と名付けています。
マネーの第一定理
「マネーストックを無コストで増やす唯一の方法は、日銀と銀行から成る金融システムの外部に対する『資産』(投融資)を増やすことである」。
このマネーの第一定理を理解しているか否かによって、マクロ経済学の理解も決定されます。従来のマクロ経済学は「資金需要と資金供給の均衡価格として金利」という暗黙の仮定の上に構築されてきました。商品取引の媒介物としての貴金属こそがマネーであると考え、その希少性故にミクロ経済学同様の需要と供給の均衡というモデルをマクロ経済学にも持ち込んだのです。しかし、厳密に複式簿記のロジックで考えていけば、マネーの第一定理にあるようにマネーストックの供給には物理的な限界は存在しません。従って、政府部門が大量に国債を発行すると、民間部門が需要するマネーストックが逼迫し、金利が上昇して民間部門の経済活動が阻害されるというクラウディング・アウトもそもそも起こらないという結論が得られます。
国連が採択している国民経済計算体系(SNA: System of National Accounts)、いわゆるGDP統計は、全て複式簿記で記録されています。複式簿記のロジックに従えば、マクロ経済学上、常に恒等式「[借方]銀行システムの「外部」に対する金融資産(投融資)の変動≡[貸方]マネーストックの変動」が成立し、そこからマクロ経済学の全体系が書き換えられていきます。その出発点を述べた動画です。短くまとめていますので、ぜひ御覧ください。
『ずばり!お金とは何か?”信用貨幣説①銀行の負債としてのマネー”~note連動~』*チャンネル登録よろしくお願いします。